令和4年度 北辰神桜流年次大会に寄せて

猛威を奮い続けてきた新型コロナウィルス。 
ワクチンも普及、ようやく付き合い方がわかってきたことで、世の中に明るい兆しが見え始めました。
コロナで疲弊した世の中が、ここから少しずつ元気を取り戻していくことが期待されます。
 そして猛暑の中、当流伝統の大会の開催に奔走された皆さま、本当にご苦労さまでした。
きっと大変なときを過ごされてこられたことでしょう。
今年も皆さまのご尽力のお蔭で、無事開催されましたこと、これは奇跡と言っても過言ではないでしょう。
皆さまの情熱が形になりました。感謝の思いでいっぱいです。ありがとうございました。

 私は現在富山県氷見市にいます。こちらは名古屋のような大都会とは違い、日本の地方都市の多くが少子高齢化、人口減少に悩んでいます。
氷見市では、まちの心の灯火だった市民会館が老朽化のため閉館したのが8年前。
それ以降、このまちは芸術文化を表現する場を失ってしまいました。
表現者たちはその新しい場所の復活を心待ちにしていました。

 それがこの秋、ついに「氷見市芸術文化館」という新しい名前を戴いて、新たな文化ホールとして復活することになりました。建設工事も7月末で終わる予定です。
ところが、初めて市民にお披露目をする日が本日と重なり、その先頭に立って旗を振ってきた立場であるがゆえ、当地を離れるわけにもゆかず、誠に残念ながら本日の出席が叶いませんでした。
誠に申し訳ございません。いただいたプログラムを眺めつつ、皆さまの演舞を妄想することといたします。 

 これまで毎年創意工夫を重ね、バトンをつないできた、それが当流の「伝統」です。続けることにまずは意義あり。この「伝統」を謙虚に受け継ぎ、そして次の世代に渡していく。それがこの大会開催の最重要の意義です。
 そして、久々に集える喜びも大いに味わいましょう。  
 皆さまが光り輝く、円熟味を増したその命の輝きが今日も舞台で展開されることに、心からの祝意をお伝えしたいと思います。

   

令和4年8月21日

宗家三代目 篠田桜峰